
文章を絵画化する / 渡る世間は鬼ばかり + Sex and the City
Painting a sentence / Drama Scripts
2025
本作は、同時期に放送されていた二つのテレビドラマ――『Sex and the City』(米国)と『渡る世間は鬼ばかり』(日本)――を素材に、カットアップの手法で再構成した絵画作品です。 前者は都市に生きるシングルウーマンの欲望や自立を描き、後者は家族という共同体を支える女性の労働と葛藤を描きます。どちらのドラマにも共通しているのは、女性たちがひたすらに「語る」という点です。もしこの二つのドラマの登場人物たちが互いに会話を始めたらどうなるだろうか、と想像したことから制作が始まりました。
彼女たちに会話をしてもらうために、まず私はそれぞれのドラマを文字起こしすることから始めました。そこで私は、交わらないと思っていた両者が、共通する単語を話していることに気づきます。それは文字起こしする前に予想していた「働く」「結婚」といった言葉だけでなく、「うんざり」「幸せ」「一緒に」という感情や関係性をめぐる言葉でした。
彼女たちの会話をより親密にするために、文字起こしした言葉を単語や文節ごとに切り刻み、切り離された文言を組み合わせて作文をすることにしました。カットアップした例として、「サラリーマンの医者が 家事の手抜きは困るぞ」や「ファインプレーをみせた本間家の婿」などがあります。この一見意味をなさない文章を元に、絵画を制作します。絵具は支持体に染み込みながら曖昧に広がり、にじみという痕跡を残します。同じ色が溶け合う部分もあれば、異なる層として対立し続ける部分もあります。
異なる価値観がぶつかるとき、差異を際立たてるのか、もしくは語りの中ににじみ溶け合うのでしょうか。異なる文脈に属する女性たちの語りを交錯させることで、文化を越えて立ち上がる声の重なりを可視化する試みです。
I collect written materials produced by others in my everyday surroundings—such as English vocabulary books, electric fan manuals, and piano method books—and fragment their text into individual words and phrases.For this project, I specifically sampled dialogue from two television dramas broadcast during the same era: "Sex and the City" (USA) and "Wataru Seken wa Oni Bakari" (Japan). By recombining these disparate linguistic fragments into a multitude of variations, I generate texts that, while appearing nonsensical at first glance, serve as the titles for my paintings.
This process is an attempt to invert the traditional hierarchy of naming—where a title is usually bestowed upon a finished piece—by allowing the title to exist first and dictate the creation of the artwork itself.

