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 本展では、1960年代にフランスで結成された言語実験グループ「ウリポ(Oulipo)」の制作原理に着目した新シリーズを発表します。ウリポの特徴として、言語の自己増殖的な振る舞いが挙げられます。例えば、特定の文字を用いずに文章を書く「リポグラム」や、ラテン方陣を利用した執筆方法など、数学的思考に触発された実験的な取り組みが多数行われました。

 なかでも古川は、元のテキストの名詞(S)を辞書で引き、その名詞の7項目後に掲載された別の名詞に置き換える〈S+7〉の手法(語彙的平行移動)に関心を寄せ、このプロットを絵画で再構成することを試みます。例えば、 「アメリカに引っ越す」という元のテキストの中の各名詞を『広辞苑第四版』で引き、それぞれ7項目後の名詞に置き換えると「アーモンドに引っ籠る」というまったく異なるテキストが立ち現れます。

 本展では、前述したウリポの手法を引用した古川のアプローチを通して、言葉の意味が変容し、破綻していくプロセスが再提示されます。元のテキストと、語彙の並行移動によって生成された不条理なテキスト、それぞれをタイトルにしてペアで制作された絵画群が展示され、ウリポの思想の根幹でもある「テキストの自己増殖」を視覚化し、新たな絵画表現の可能性を探ります。

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