記憶のないカウボーイは庭にいる

 走る  スパイ  団地  バレリーナ  怒る  床の間  記憶がない  ベッド  茶の間  アッパーミドルの家  卵をもつ  警部補  鳩を抱える  カウボーイ  訴える  庭  ピアノ教室  うずくまる  野球選手  夜逃げする  ウエイトレス  泣く  玄関

 

 《記憶のないカウボーイは庭にいる》とは、制作者が「どこで」「だれが」「どのように」と書いた紙をランダムに選んだ「庭」「カウボーイ」「記憶がない」の三つの語句を繋ぎ合わせた文章です。《記憶のないカウボーイは庭にいる》という一節のみを手がかりとして発想を広げ制作しています。

 記憶のないカウボーイは、本来いるはずであった牧場を離れ、どこの国か分からない整備された庭にいます。彼自身なぜそこにいるのか分かりません。絵画も同じように、絵の具は本来いるべきチューブから離れて布の上にいて、何故そこにいるのか分かっていません。

 前後の文脈を無視したものが任意のストーリーに変わり、本来何も意味を持たないはずの文章が作品によって意味を持ち始めます。それは絵画の性質そのものです。